右手にピストルを左手にタンバリンを

札幌の劇団「yhs」に所属する櫻井保一のブログ

演劇観に来いよ、ぶん殴ってやるから

黒部ダムを間近で見たときの衝撃、山奥にそびえる圧倒的存在感の人工物、呆然としながらその上に立ち、膝を震わせた。ぶん殴られた。

Rage Against the Machineのリフを初めて聴いたときの衝動、歌ってる内容を歌詞カードでみたときの驚き、あんなん反政府ゲリラじゃねえか。ぶん殴られた。

 

自分に大きくインパクトを残したもの、良くも悪くも傷跡として残ってるものって、ある程度生きてりゃいくらかあるもんですよね。そして、まだ見たことのないアレコレがまだまだ無数にあるんだなあとか思うと、それだけでも少し立ちくらみしちゃう。

前段で挙げたのは、その中でも人の手によって作られたモノたち。他にもいろいろあるけど挙げればキリがないので。黒部ダム行ったときなんて、帰ってからしばらくはダムの話しかしないおじさんになってたからね。タモリだってそこまでダムの話しねえよ。あの人は坂も見なきゃいけないからな。知らない世界を、もっと知りたい。

 

前置きはこれくらいで。

どうやら俺は、多くの人がまだ知らない世界を、提供できる側の人間らしいです。

 

 

演劇観に来いよ、ぶん殴ってやるから

 

 

どうも、札幌で演劇やってる櫻井保一です。好きなフィニッシュブローは「打ち下ろしの右(チョッピングライト)」です。よろしくお願い致します。

なんかイキったかんじで「演劇観に来い」とか言っちゃいましたけど、アレです。多くの人に演劇へ興味を持ってもらうのは難しいなーって思ったんです。つーかこれ公演のたびに思うし、演劇やってる人らは必ず、もう本当にずーっと考えて、色々試して、悩んでることなんですよね。

そもそも演劇自体が時代にあっていない歪な娯楽なわけで。何時でも無料で気軽に楽しめる娯楽がたくさん溢れているなかで、金はかかるし決まった時間に決まった場所に行かねばならず更にある程度の時間拘束されるんだぜ。書いて改めて思ったけどなんだこの逆行っぷり。今から俺は演劇のことを「娯楽天邪鬼」と呼ぶぜ。

 

でもまあ、やってるんですよね、そんな効率の悪いことを。いろんな人に言われるよ、「お金にもならないのになんでそんなのやってるの?いつまでやるの?」って。こんなに面白いことがお金にならないのがムカつくからやってるよ。お金になるまでやってやる。

 

大体ね、あってもなくてもいいんですよ、演劇って。別に人間が生きるために必須のものじゃないですからね。だけどそれを面白いと思ってやってるし、面白いと思って観てくれる人もいるわけだし、本来必要のないモノの中で生きていくことができたら、それこそこんなに面白いことはない。無駄なことが好きなんだよ昔から。どれだけ板書を綺麗にノートに写すかよりも、先生の咳の回数を数えてその日の体調を見計らってたんだよ。ヘビースモーカーでカップ麺と栄養ドリンクが主食だったあの先生、まだ生きてっかな。

 

で、やっぱり娯楽としてはハードル高いんですよね、演劇。俺も大学入ってやる側になるまでは、よくわかんないしなんか怖えなって思ってたもの。最近は映像もあるので、試しにDVDなんかで観てもらうのもありがたい。でもやっぱり本来ライブなので、生で観る迫力と比べると魅力は半減かそれ以下になる。生で観る人間のパフォーマンスって本当にすごいんですよ。見逃してほしくないというのが正直なところで、例えば俺はドリフターズやミッシェルのライブを生で観ることができなかったのが本当に悔しい。志村後ろー!って言いたかったし、アベの鬼カッティングを聴いて暴れたかった。叶わないことになるのは勿体ない。公演期間も限りがあるってのがね、つらいね。

 

書けば書くほどに、本当に観る側への要求が多い娯楽だなと思う。わがままが過ぎるんじゃねえか坊や。今から俺は演劇のことを「娯楽末っ子」と呼ぶぜ。

 

どうか一度、このわがままに付き合ってほしい

 

一度だけ、覗いてみてほしい、この世界を。満足させる、その準備を、今、必死でしている。大きく振りかぶって、そして殴ってやる。思い切り、脳みそを揺らしてやる。打ち下ろしの右をおみまいしてやる。必殺のチョッピングライトだ。この世界を愛してもらえるように。

 

うまいことダウンを奪えたら、「またよろしくね」なんて調子のいいことを言って、手を差し伸べるんだけどさ。

 

 

ここまで読んでくれてどうもです。

最後に、公演間近なのでその情報が載ったリンクと予約フォームを以下に貼っときます。ブログトップにも詳細を載せた記事がありますので。もし興味をもってもらえたのなら、ぜひ。

もう少ししたら、ゴングが鳴るよ。

 

yhs「忘れたいのに思い出せない」(7/22~7/29@琴似コンカリーニョ)

 

予約フォーム

 

では。