朝、家を出て、日が変わるくらい帰って、寝る。そんな生活に慣れているから、こんなに自分の家にいることに慣れない。
件の病によって、日々のほとんどは自宅にこもっている。だけど、意外と仕事はできるもんだなあと感心している。
夜がこれから空を覆う時間に家を出て、さびれたスーパーに向かった。見上げた月はすごく細かった。心配になるくらいに、綺麗だった。
冷めたパスタが目の前にある。
カラスはどんな顔で見てるんだろうか。ソーダの真ん中にある、ビー玉みたいな眼で。
笑ってんのかな。だったらいいな。
「緑のジャムとレタスの根っこ、どっちのほうが甘い?」
そう言って笑ったあの娘、今も元気かな。