右手にピストルを左手にタンバリンを

札幌の劇団「yhs」に所属する櫻井保一のブログ

雪化粧

クリスマス、今年は劇場で過ごすことになりそうです。年末に公演があるので。近くにケンタッキーあるしせっかくだから食うかね。あのでっかいやつ。バーレルっての?あれを脇に抱えながらムシャムシャと。アメリカンわんぱくキッズのように。でも胸やけして2個くらいが限界なんだよな。内臓が貧弱。

 

本番に向けて稽古の日々です。

札幌FEDE、旗揚げ公演。

新しいことを始めるときはいつだって昂る。

まだ見ぬ景色に憧れて帆を上げた船の行先は誰にもわからない。でもきっと、忘れられない航海になる。コロンブスの気持ちが少しわかった気がするよ。

 

 

 

冬の景色が好きだ

雪に包まれて、みんなが違う顔をみせるから

枯れたシラカバが、色気を帯びてみえるから

路地裏の寂しい街灯が、灼熱の太陽にみえるから

錆だらけのバルコニーが、お気に入りのレモンケーキにみえるから

地平線を睨むカラスが、革命のジャンヌダルクにみえるから

この世界が、綺麗だって思えるから

 

 

 

でも寒いのはマジ勘弁な。アイアム冷え性ヒートテックを愛しヒートテックに愛された男。なんかね、長いあいだ外にいると耳キーンってなるんですよ。耳の中が。周囲の音もハウリングして聴こえるし。なんなんすかねあの現象。鼓膜が凍ってんのか?怖っ。

 

てなわけで、良き作品を創って気持ちよく今年を締めくくるために、引き続き感覚を研いでいきます。

 

 

花壇のある家に住んだら

冬に咲く花を育てよう

クリスマスローズには毒があるんだって

それをガラスのケースに入れてさ

シンデレラみたいでカッコいいね

 

ライン・ドッグ

 

慣れない赤ワインを飲んだからかもしれない。とにかくダメな夜だった。

 

山盛りのベーコンとポテトが気付けば皿だけになっていた。男の口にひょいひょい入っていく様子は可笑しかったが、男の口から出る言葉はどうにも笑えない。喋るたび、心臓に霧がかかっていくのがわかった。他人を騙して得た富を、というか、それを富とは言わないが、とにかくそういったものを自慢して周りから羨望されることが、彼にとっては大切らしい。

これ以上は耐えられないので、断りを入れて席を立とうとした。すると、

「まだ話は終わってないぞ、これから先がすごいんだ、最後まで聞けよ、なあ、この話には、最高の結末があるんだぜ」

と言って、私を引きとめようとした。しかしそれはただのふりで、男の目線は隣に座る女から一度も離れなかった。とにかく香水のきつい女だった。それがさらに私をイラつかせた。

「興味ないよ、でも今夜の結末はわかる、あんたがその女とよろしくやるってことだ、最低な結末だ」

と、よろしくない言葉を残して店を出た。

 

黙ってもう少しだけ話を聞いていればいいものを、なんでわざわざ。と自分の振る舞いに反省しながら夜道を歩いた。ネオンに薄く照らされた、小ぶりでキレイな花の写真を撮った。家に着き、着替えもせず、床で寝た。そうとう酔っていたらしい。

 

夢の中では浜辺がどこまでも広がっていた。曇天だったが、いびつな形をした流木がいくつも転がって、その退廃的な雰囲気が自分には好みだった。

黒くて、耳の長い、大きな犬がいた。波打つたびに、海と地上の境目を行ったり来たりしていた。

「あの犬の主人は誰だろう、他に人は見当たらないし、んー、ああ、俺か?」

などと考えていたら、黒い犬は何かを思い出したようにクルッとこちらを向き、3秒ほど目が合った後、猛然と襲い掛かってきた。

 

そこで目が覚めた。

と同時に、足がつった。

 

残る酒と、眠気と、霧が晴れない心臓を抱えて家を出た。

 

コンビニの前、若い女が座り込んで化粧。その隣で初老の男がタバコ。猛スピードで救急車。右手で自転車を押す白人、左手にはガールフレンド。ハンドルを握る子ども、道に迷った母。花壇の淵、うなだれる中年。作業服と缶コーヒー。牛歩の老婆。駆け込む女、目の前で閉まる扉。空を見上げるサングラス、笑顔。

 

いろんな光景が目に入る朝だった。そういえばと、昨夜の花の写真をみた。鮮やかなイエローだったはずだが、ひどくぼやけて汚い泥のようだった。消した。

 

霧が晴れない。

犬の絵が描いたビールを買って帰ろう。

 

オン、ザ、ウェイ、

もうすぐ「青春したい!」の幕が上がる、

 

“青春したい”って打とうとしたら”青春死体”になった、

 

もうすぐ30だから、あながち間違ってないかもね、

 

てことは、これが20代最後の舞台になるわけだ、

 

18か19のときに芝居を始めたから、約10年、

 

なにかの区切りになるかもしれない、

 

10年、かあ、

 

そもそもどうして始めたっけ、演劇を、

 

思い出せないから、はっきりした理由はないんだろう、

 

けど、まだ辞めないでいる、

 

始まったからには、終わるときもくるんだろうか、

 

こればっかりはわからん、

 

10年、かあ、

 

新しい命とか、死んじゃったやつとか、いろんな顔が浮かんでくる、

 

生きているあいだに、生きている人間のすることがある、

 

そんなことを、赤い服を着た男が言ってた、

 

サボテンの花はみたことがない、

 

やっぱり、区切りなんか無いのかも、

 

生きているあいだは、

 

始まりも、終わりもない、

 

途中がずっと続いてる、

 

句点はまだ打たない

 

 

 

スイーツ・オア・ステーキ

権力とか暴力とか国のこととか、いろいろなニュースや報道をみて「なんだかなあ」と感じているここ数日。「なんだかなあ」というと調子の軽い感じもするけど思いのほかダメージは大きいらしく、今朝もニュースを見て少し泣いた。

 

強く握った拳の行方はわからない。誰かを殴りたいわけじゃない。もしかしたら、夢に出てきたラムネ色のカエルが悲しそうに鳴いていたからかもしれない。

 

記事や映像で見聞きするそれらは自分のいる場所とは違う、遠いところで起きているのかもしれないけど、どうしても腹が立つし悲しくなる。いつもは目の前の、半径1メートルのことしか考えられないくらい不器用なくせに。

 

泣いている娘には甘いものをあげれば泣き止むと書いた小説家は誰だっけ。そんなことを考えながら外に出たら風が強くて、柄にもなく目に溜めていた涙をふっ飛ばしていった。容赦ないなと思ったけど、自分で拭うよりは諦めがつく。

 

昨日は選挙に行ったあと、近頃のモヤモヤする気持ちや日差しが暑かったこともあり、昼から一人で酔っぱらっていた。(まあいつものことですけど)。そしたら友達から、暇なら飲もうと連絡が。水をガバっと飲んで幾分か酔いを醒ましてから、またたくさんの酒を飲んだ。

 

きっと話したことのほとんどはくだらないあれこれで。肩の力が、その時間だけはスーッと抜けた気がした。こうやって笑いあえる仲間がいるのは本当にありがたい。散々っぱら酔った挙句、「これからステーキ食いにいこうぜ!」と言うくらい機嫌がよろしかった。それも冷静に止めてくれて、ありがたい。翌日の胃が、助かった。

 

とても狭くて居心地のいい、半径1メートル。

この世界を失わないために、やれることはなんだろう。

 

 

 

というわけでなんとなくつらつらと。久しぶりの更新でござった。

 

9月のyhs「青春したい!」に向けた稽古も始まっておりまして、劇場で、そこにいる人たちみんなと一緒に、全力で遊ぶための準備をしています。ど☆コメディとなってますので、ぜひお友達などお誘いのうえガハハと笑いに来てくださいませ。

 

詳細↓

 https://www.yhsweb.jp/

 

ご予約(櫻井扱いの予約フォーム)↓

 http://ticket.corich.jp/apply/100702/101/

 

 

 

件の友達との待ち合わせ中、CDショップで視聴したベンジーは相変わらずかっこよかったし、特典で付いてるライブDVDのリストにブランキーの楽曲があって嬉しかった。

 

パイナップルサンドって甘いのかな。

これをあげたらあの娘は泣き止むかな。

 

ミルクよりも、冷たい紅茶のほうが合いそうだね。

ダンデライオンの色

1年半ほどぶっ通しで芝居をしていて、ほぼ毎月舞台に立っていましたが、これからの予定はと言うと、9月まで本番がありません。

 

そんなことを人に言ったら、「じゃあ今、不安じゃないの?」と聞かれるわけで。誰に聞かれたか覚えてないけど、きっとそのときは「へ?」とか返していた。不安なんてないよ。だって、好きな人に会って、楽しいことをして、酒を飲んでいるからさ。不安はないけど、いつまでも体に残る酒はうざったい。

 

しいて言えば、酔って知らないうちに変な事故とか起こさないかとかそういうね。ああそうだ、健康診断が近いので、移動はなるべく徒歩で、それもいつもより早歩きです。オールグリーン目指して日々を生きています。そうやっていたら指のつま先が潰れてきた。サイズの合わないジャック・パーセルのせいで。俺のつま先が潰れる前に、お前のかかとを潰してやる。

 

タンポポが咲く姿をみて陽気を待ちわびているうちに、気付けば彼女らはフワフワに舞っていた。綺麗だなってぼんやり浮かれている俺なんかをよそに、よっぽど賢く未来を見据えて飛び立っていくんだね。いってらっしゃい。

 

少し前に色のない夢を見てから、空をよく見上げるようになった。これからもっと日が長くなって、たくさんの色が空を染める。好きなのは夏と冬の間にみられる、ピンクグレープフルーツみたいな空。

 

でももしかしたら、そのときは劇場にいてみれないかもしれないな。

それならそれでいい。それもそれでいい。

 

では。

桜と一緒に散るメモリー

まだつぼみの桜をみて、これから散る姿を思い描き、本番終わりの疲れた喉から乾いた咳が出た昨日。春はべつに好きじゃないけど桜は好きだ。祝ってくれている気がするから。

 

先日おわりました。BLOCH-REVIVE vol.3「アニメ」

ブラック豆の木 という役を演じておりました。

ども、櫻井です。

 

追加公演があり、すべてのステージが完売し、たくさんの方に観ていただけました。ありがとうございます。

 

本当にいい奴らしかいない座組でした。同世代だけじゃなく、後輩の子らも含めてみんな、みんな本当に素敵な人間です。こんな公演は他にない。好きな人がまた増えた。

 

今は眠い目をこすりながらお酒を飲んで、音楽と一緒にタンゴを踊っています。いつものことだけど。今日は久しぶりに一人で飲んでいる気がする。寂しさがあるかもしれないけど、関係なくやっぱり酒って美味いから、結局ハッピーなんだ。

 

理由なく闇雲に幸せを望むのは嫌いだけど、今でもニコニコしているんだから、とても良い時間だったんだと思う。また、みんなと一緒に同じ時間を過ごす機会があればいいな。

 

振り返りって感じの内容じゃないけど、それとなく思ったことを書いて今日は終わり。ここ1年半ずっと舞台の現場があって、これからしばらく公演はないけれど、それはそれで楽しみな時間なのです。

 

どうでもいいけど、最近物忘れがひどい。けど、それ覚えてたんだ?って言われることも多い。不思議だね。

 

そんじゃ、サクッとしてるけどこんなもんで。

またね。

ハッピー・ブーメラン・フック

たまーに、「本名なんですか?」って聞かれることがあるのですが、本名じゃないんです。保一は、俺のじいちゃんの名前です。で、それを言ったらもちろん返ってくるのは、「じゃあ本名は?」ですよね。

そのたび、

 

レイ・セフォー です」

 

って答えてるんですけど、おい、なんだその顔は。興味を失うなよ、俺に。かかってこいよ「櫻井 レイ・セフォー」だよ。殴りあおうぜぇ!!ノーガードでヨォ!!!!

 

はい。櫻井です。

 

こないだですね、古い付き合いの熊谷嶺がこのたび東京に活動拠点を移すということで、それを送り出すイベントにちょろっと出させてもらったんですけど、なんていうか、いいですね、ああいうの。暖かい感情がつまった空間でした。それぞれの「いってらっしゃい」があって、みんなに愛されてるんだなあって、彼のことを少し羨ましく思いました。

 

最後まで彼はポンコツでね。集合時間に遅刻しましたし。期待を裏切らないですよある意味。まあ、小屋に入ってきた瞬間叱りつけてマジで泣かせてしまったけども。30歳になりたての友人を泣かすことになるとは。東京に行っても愛され続けて欲しいものです。本当に。

 

あいかわらず、日々は、稽古とか、好きな音楽とか、溶けてきた雪とか、やけに甘ったるクッキーとか、気づけば通り過ぎていたあれこれで。

 

目の前にころがる缶の数を数えているうちに、朝になるような毎日を送っているけど、それはそれで俺らしいやとヘラヘラしているのも、最高にハッピーなわけです。

 

ってなもんで、ではでは。